ぼく盲導犬、よろしくね 【vol.9】
投稿日:2026年07月15日

チャリティーハンカチを通じて長年盲導犬を応援してくださっている鎌倉シャツ様と一緒に、さらに盲導犬のことを知っていただけるようコラムを作りました!

コラムを通じて、盲導犬のことをもっともっと知ってください!

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引退の日

お父さんが電話している。
「はい、わかりました。では明日宜しくお願いします」

電話を切ったあと、お父さんはおもむろに何かを紙袋に詰め込んでいる。
あれ?それはお父さんが最初に買ってくれたぬいぐるみ。
あ、それは濡らすと涼しく感じる洋服。
ぼくによく似合う色だって、お父さんが褒めてくれたよね。
でも今は冬。なんで急に押入れから出しているんだろう。

「明日からまた出張?それとも旅行かな?」

室内のベッドで伏せて休んでいる2頭のイエローラブ。

ぼくはそんなことを考えつつも、忙しく準備するお父さんを眺めているうちに、うつらうつら眠りに落ちていた。

お父さんがぼくに寄り添い、優しく撫でてくれる夢を見ながら。

翌朝お父さんと向かった場所は、盲導犬訓練センターだった。
ぼくの大好きな訓練士さんが、お父さんと長い時間お話をしていた。
やっとお話が終わり、お父さんが立ち上がったので、ぼくも「よっこらしょ」って立ち上がろうとすると、お父さんはぼくの身体からゆっくりとハーネスをはずした。

「ありがとう。本当にありがとう。 お前に出会えてお父さんは本当に幸せだったよ」。

ぼくをぎゅっと強く抱きしめながら、そう話すお父さんの身体は震えていた。

引退犬が生活する施設のベッドで伏せて休んでいるイエローラブ。

ぼくはなんだかわからなかったけど、お父さんに抱きしめられることがうれしくて、しっぽをブンブン振った。
ブンブン振れば振るほど、お父さんの「グッド、グッド」という声は震えてとぎれとぎれになっていた。

そしてぼくは、白い杖で背中を向けたお父さんとは逆の方へ連れていかれたんだ。

そう、この日はぼくが盲導犬を引退する日だった。

引退した盲導犬が生活する施設の庭で、5頭の引退犬たちが過ごしている様子。ゆったりとした表情で、皆伏せたり座ったり、皆思い思いに休んでいる。

あの町へ

ぼくと別れたお父さんは、そのまま訓練センターで次のパートナーになる盲導犬との共同訓練に入るんだ。
たとえベテランの盲導犬ユーザーでも、新しいパートナーと引き続き安全に歩いていくために、必ず訓練を行うんだよ。

そしていつも一緒にいたお父さんと別れ、ぼくは訓練士さんと一緒にワゴン車で出かけたんだ。
次回はいよいよ最終回。
引退した後のぼくの暮らしをお話するね。

笑顔のゴールデン。

制作協力・写真提供:公益財団法人日本盲導犬協会
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このコラムは、「メーカーズシャツ鎌倉株式会社」の協力により製作しています。
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