いきなり暗礁に乗り上げた企画
オリジナルの犬用防災グッズを作ってみよう!という話が出たのは、
4月に発生した熊本地震から3カ月ほど経った時でした。
そして最初の段階で提案した防災グッズは、こんなかんじでした。
コンセプトがまだ迷走気味だった初期の頃のカタログページラフ
とにかく内容盛りだくさん。あれもこれもとにかく入れていた最初の商品開発内容。
防災関連の資料をもとに、自分たちの中で情報を整理できていない状態で、
愛犬の防災グッズセットを作ろうとしたので、段々とセット内容が増えてしまい、
うん万円もする高額な商品になっていました。
打ち合わせを重ねていくうちに、ふと気づいたこと
商品開発している自分たち自身が、万単位でお金を出してまで本当に欲しいかと考えると、
みんな「う~~~ん」と妙な空気が流れているのはなぜか。
その理由がわかったのは、商品開発が始まってから1か月ほど経った頃でした。
そうなんです。
暮らしている犬の種類、年齢、性格によって、必要なグッズがそれぞれ異なるから、
そこで無理やりセットにしてもうまくいかなかったんです。
実際に私たち、盲導犬総合支援センターには、犬や猫と暮らしているスタッフが多くいます。
社内スタッフで話しただけでも、防災の時に必要と思えるモノがそれぞれ微妙に違っていました。
本部スタッフの愛犬・愛猫。
種類も年齢も性格もみんな違うけど、大切な家族の一員と言う点は全員一緒。
こんな感じでいきなり、犬用防災グッズの商品企画は、暗礁に乗り上げるという非常に苦しい時期が続きました。
制作スケジュールは押しまくり。気持ちは焦る一方。
でもなぜか「やめよう」という声は、誰からも出ませんでした。
意を決して原点回帰
今まで出した企画を一度白紙にして、まずは、もし震災が起きた時に、
スタッフそれぞれが一番不安に思っていることは何かを話し合うことしました。
レトリバーと暮らすスタッフの不安。
「大型犬は避難所に入れてもらえない。車中泊以外の選択肢がない」。
一人暮らしのスタッフの不安。
「愛犬がアパートで留守番している時に、震災が起きたら。
そのまま数日間監禁状態になったらどうしよう」。
神経質な性格のミックス犬と暮らすスタッフの不安。
「環境の変化が苦手な子だからパニックになって逃げ出したらどうしよう。
また絶対何も食べなくなるのが目に見えている」。
リードをつけないで抱っこのまま避難した人が、どこにも犬をおろせなかった話を思いだしながら、会議は続く。
そして皆が共通して感じていた不安は、大切な自分の犬と
「離れ離れになること」「二度と会えなくなること」でした。
テーマを絞ると見えてきた、本当に必要なモノ
離れ離れにならないためには、やっぱりリードとカラーが絶対必要。
他には?
ペットだけで留守番中に震災が起きたら?
もしくは私たち自身が外出中に、不慮の事故にあったら?
地震だけではなく、火事、交通事故などあらゆることに少しでも役立つグッズがあれば?
こんな風に何度も何度も議論を重ね、出た答え。
それは、愛犬の防災という大きなテーマを漠然と扱った商品ではなく、
まずは「離れ離れになること」「二度と会えなくなること」という
2点に焦点を絞った商品を第1弾にしよう。
そして今後は防災関係の専門家に取材を重ねながら、
犬との暮らしを大切にしている盲導犬総合支援センターならではの
防災グッズを継続的に取り扱おう。
こうやってテーマを絞ることで、やっと前に走り出すことができました。
2017年幕開けと共にうちの子防災プロジェクトスタート
10回近くカタログのラフ画を描き直し、約4カ月かけて、
やっと愛犬の防災グッズ第一弾を発表することができます。
2017年1月上旬に発売開始予定です。
一人でも多くの方が「あ、これは持っていたほうがいいわ」と言っていただけたらと、
スタッフ一同今からワクワクしています。
また愛犬の防災をテーマにしたプロジェクト「うちの子防災」は、今後WEBで連載していきます。
そして「うちの子防災」のロゴマークも出来ました。
もうどう犬 エルくんが大切な友達を守っているロゴです。
皆さん、どうぞ今後の展開をお楽しみにしてください。
テキスト:デザイナー セツサチアキ