盲導犬ユーザーが盲導犬と歩くことで出会えた嬉しかったこと、胸が熱くなったことを小さな物語にしました。
第4話は盲導犬ユーザー、岡野宏治さんと盲導犬グリーンのお話。
30代の時に、徐々に視力が失われていく病気を発症した岡野さん。その後、長年努めていた会社を辞めて鍼灸院を開業。現在は2頭目になる盲導犬グリーンと暮らしています。そんな岡野さんとグリーンの小さな物語です。
私の名前はグリーン。お父さんとのお出かけが大好きな、ラブラドールの女の子。今まで色んな場所へ出かけたけど、その中のひとつ、近江八幡旅行の思い出を聞いてね。
近江八幡に着いて最初に向かったのは、有名な洋菓子工房。焼き立てのカステラやバームクーヘンが食べられると知って、美味しい物が大好きなお父さんは、何よりもまずここに行きたかったみたいよ。
でも初めての場所だから、お父さんは念のため、事前に工房へ連絡を入れていたの。
「盲導犬と一緒に行きます」って。
想像以上に広い洋菓子工房に到着後、甘い匂いに包まれたカフェに入ると、店の奥から出てきたスタッフの方が最初にこう言ったの。
「お待ちしていました!」
私たちを気持ちよく出迎えられるよう、工房全体に連絡が行き届いていたことに、お父さんはびっくりしたみたい。しかも私が、ここを訪れた盲導犬第1号だったらしいわ。だからスタッフの皆さんも、私が来ることを楽しみにしていたんだって。
それを聞いたお父さんは、すごく嬉しそうだったのよ。
広めの席に案内された後、私がお父さんの足下に伏せをしただけで、「すごい!えらい!」とスタッフの皆さん。思わず私もシッポをブンブン♪大きな窓からふりそそぐ柔らかな日差しを浴びながら、念願の焼き立てのカステラにご満悦のお父さん。
でもそれ以上に、スタッフの皆さんの温かいおもてなしの心に触れられて、お父さんはとても幸せそう。
あの旅行から何年か経った今でも、お父さんは時々言うの。
「グリーン、今度はいつ近江八幡へ旅行しようか?」って。お父さん、次は焼き立てバームクーヘンを食べたいんだって。
byグリーン
「盲導犬ユーザーが教えてくれた小さな物語」
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1口1,000円で参加できる盲導犬応援プロジェクトは、盲導犬ユーザーへのお手伝い方法がわかる「声かけパンフ」の制作及び配布活動の支援につながります。
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絵とお話:デザイナー セツサチアキ