肛門腺絞りってなに?絶対やらなきゃいけないの?
カテゴリー:お世話・お手入れ, 健康対策
投稿日:2024年11月25日

「犬暮らしを始めるまで知らなかった」という方が意外と多い「肛門腺絞り」。
筆者は家族が犬暮らしをしていたので知っていましたが、犬暮らしのかなり詳しいことまで会話に出る間柄でもなければなかなか知ることもなかったと思います。

今回はこの「肛門腺絞り」についてお話します。

トイプードルのお尻と肛門の写真
とっても絞りやすそうな肛門です!
肝心なところは隠しましたごめんなさい。

肛門腺ってなに?なんのためにあるの?

この「肛門腺」は肛門の左右にある小さな袋で、犬それぞれで匂いが異なり、個体の識別のために存在します。
この肛門腺で有名なのは「スカンク」でしょう。逃げる時にものすごい悪臭のオナラを放つと言われていますが、これは実はオナラではなく肛門腺です。
肛門腺液をいざという時のために溜めておき、敵に襲われた時などに放って、敵が怯む間に逃走するんだそうです。すごいですね!

とまあ様々な哺乳類に備わっているこの「肛門腺」という器官ですが、スカンクのような進化はもちろんごく一部で、冒頭で述べたように、ほとんどの動物は「その犬はどの個体か」ということを相手が判別したり、自分の縄張りだと主張するために地面に排泄したりするために存在すると言われています。

肛門腺ってなぜ絞るの?

「野生の動物は肛門腺搾りなんてしないのに、なぜ犬は絞るの?」という疑問がここで出てくるかと思います。
犬でも、多くの個体は便の排泄時に一緒に出ることが多いです。
便の圧力と、踏ん張る時の括約筋の力で自然に排泄されます。
でも、「体が小さい」超小型犬などはそもそも括約筋が少なく、便と排泄される量はとても少なかったり、下痢気味の個体は便の圧力自体がなく、踏ん張らずに排便されるので、これもあまり肛門腺液の排出が期待できません。
それからシニアになると、やはり力が落ちるので溜まりやすくなります。

超小型犬はブリーディングにより小型化されたもので、また野生の状態で体力が落ちるほどのシニアで生きていることはあまりないと思うので、そもそも「野生では存在しない状態」だからこそ肛門腺絞りをする必要があると考えても良いでしょう。

肛門腺の絞り方について

肛門腺の絞り方でよく言われるのが「肛門を時計の中心に見立て、四時と八時の部分に親指と人差し指を当て、押してから肛門を摘み上げるように絞る」という方法です。


四時と八時とは、皆さんおそらく想像ついていると思いますが
つまりこういうことです。

https://www.ac-illust.com/

方法自体はこれで間違いありませんし、これで大体の愛犬の肛門腺が絞れます。
でもみんながみんな、うまく「四時と八時の部分」に肛門腺があるわけではありません。
よくあるのは「四時と八時の部分にはあるがかなり奥」だったり上記イラストの「五時と七時の部分…いずれも六時に近い」だったりします。
私も最初は「四時でも八時でもないじゃん!」と混乱しました。

「四時と八時」になかった場合の探し方

四時と八時でうまくいかなかった方は、肛門の周りを少し押して探してみることをお勧めします。
肛門を軽くつまみ上げるようにして探すと、なんとなく「コリッ」とした手応えがあることがあります。
それを皮膚の上から奥から押し上げるように絞ってみてください。肛門腺である可能性が高いです。
愛犬が痛がらないように、あくまで「軽く」ですよ!

自分で絞らなきゃいけないの?

ここまでこのように書いているとなんとなく「自分で絞らなきゃいけないのかな…?」と思われるかもしれませんが、場合によっては「素人が絞るのは難しい位置」にある場合もあります。
例えば前述したように奥の方に肛門腺が位置する場合で、愛犬が大型犬の場合、非常に絞るのは難しくなります。
ですのでそこはプロ、獣医さんにお任せしちゃいましょう!

なかなかうまく絞れず、お風呂場で愛犬と格闘し、お互いに嫌な思いをするぐらいなら、プロにお任せしてスッキリしてもらう方が絶対いいと思います。

※個人的な意見としてですが、これは爪切りやトレーニングなど全ておいて言えることで、全部自分ができるから偉いとかではなく、難しいところは積極的にプロに任せて、飼い主さんは余裕のある気持ちで普段から愛犬と接する方が絶対にいい!と思うのです。

肛門腺絞りをしないとどうなるの?

肛門腺絞りをしなくても、普段の排泄時に排出されていれば問題はありません。
でも肛門腺液が排出されないと、肛門腺にどんどん液体が溜まって行き、最悪爆発してしまうこともあります…!
そうなると獣医さんで手当を受けなければなりませんので、そういったことの予防にも、できるだけ絞ってあげるようにしましょう。

肛門腺絞りで気をつけること

痛がらないようにやりましょう!

肛門腺絞りで一番気をつけたいのは「愛犬が痛い思いをすること」。一番避けたいのは超小型犬の肛門腺絞りで、強く押しすぎて肛門付近を傷つけてしまうことです。
多少の違和感や痛みは仕方がないかもしれませんが、あまりに嫌がるようでしたらこれも獣医さんにお任せしましょう。

あまり神経質にならずにマッサージを行う気分でやってみてくださいね!

肛門腺液が飛び散らないように注意しましょう!

肛門腺液は、もちろんスカンクほどではないにしてもとても匂います。ですので絶対に飛び散ったりしないように気をつけましょう。


お風呂場でやるのが一番楽ちん!

◼︎浴室で絞ろう!
飛び散ってもいいようにできるだけ浴室で絞り、終わったらシャワーで綺麗に流しましょう。

◼︎ティッシュを添えてやろう!
愛犬が浴室が苦手等な場合は上からティッシュを添えて行いましょう。
肛門腺液がたくさん出ることもあるのでティッシュは多めに用意し、すぐに処分できるようにビニル袋なども用意すると万全です。
使ったティッシュはトイレに流せるようにトイレットペーパーでやると便利ですよ!


ちょっと生々しい写真なので写真全体もぼかしました。(汗)
指の位置はなんとなくわかりますよね?

ティッシュで抑える場合は私はこのように左手で肛門を絞り、右手でティッシュを持ちます。
ティッシュは3-4枚を半分に折って使います。
写真の水色のところがちょうど肛門で、尻尾は腕で押さえる感じです。
親指は実際はもう少し下の方にあてがいますよ。

◼︎上から見ながらやろう!
ついつい、よく観察しながらやろうとして肛門腺液が顔に…となったら大惨事!
斜め上辺りから見ておくと良いですよ!


ご自身で絞る場合は慣れるまではコツを掴めないので、1週間に一回ぐらい愛犬が嫌がらない程度にやってみてください。ある日「できた!」となることが多いです。
そのあとは1ヶ月に一回を目安に行うといいかなと思います。

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web担当成井のプロフィール写真

テキスト:web担当 成井徳子
ミニピン×チワワのミックス、シェットランドシープドッグと暮らす。
愛犬とドッグスポーツやディスクの大会に出場し、決勝進出も多数経験。
アクティブな犬との生活を楽しむ。

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